袋井市がブロガーを育成中!まちの魅力は発信されるのか?

袋井市が『市民ブロガー育成講座』を開催するそうで、現在その参加者を募集しています。11月から月1回程度開催で、全4回、ブログの活用法や写真の取り方について講義が行われます。

これは、シティプロモーション事業の一環で、地元の魅力を発信できる人材を育成するためのものです。

シティプロモーションの目的
市民自らがまちの魅力を再認識し郷土への誇りや愛着を深めるとともに、この魅力を自らが語り部となって国内外に情報発信することにより、関与人口、さらには交流人口、の増加を促進する。
出典:袋井市WEBサイト

袋井市は2016年1月から、浜松でブログサービスを運営する『はまぞう』と提携し、市の魅力を発信するためのポータルサイト『ふくろい通信』を開設しました。

市内で開催されるイベントや、おすすめスポットを紹介する他、市民アンバサダーや、個人ユーザーによるブログが集約されています。地元への愛着を深め、市外からの観光客を増やすことが『ふくろい通信』の目的のようです。

ふくろい通信開設から9ヶ月。地方を盛り上げるには情報発信が非常に重要ですが、この取り組みを遠くから見ておりますと、努力は買いますが結果が出ていないように見えてモヤモヤします。

人材も時間も予算も足りない中、中の人たちは頑張っていらっしゃるとは思いますが、とても残念な事になっているので、WEBディレクターの目線で『ふくろい通信』はどうすればもっと良くなるのか考えてみました

まず、何が残念なのか、ふくろい通信の2016年10月5日の現状の問題点を整理します。

情報が古い

新聞で言うところの一面に掲載されているのが、子どもたちによる映画作りワークショップの情報です。クリックすると『7月22日公式ホームページを開設しました! 』というエントリーに飛びます。

夏バテを心配していますが私が今見ているのは10/5です。だいぶ涼しくなりました。せっかく更新されたばかりの10/5のエントリーもあるわけですから最新の情報に飛ぶようにして下さい。

それにしても『ふくろい映画撮影にっき』も、だいぶもったいないことになっています。更新頻度が月一だし、エントリーそのものも画像貼り付けて袋井市のWEBサイトに飛ばすだけだったり、これならブログなんて無い方がいいくらいです。
映画をつくろうの公式サイトも7/24で更新が止まっています。上映会の様子とか掲載すればいいのに。

情報を拡散するには複数の媒体やSNSを使うのは有効ですが、情報は集約させないと手間がかかりすぎて更新ができなくなります。結果、今回のように中途半端なことになるので注意しましょう。

浅羽ヒロミ
浅羽ヒロミ
※2016.10.11更新で袋井宿開設400年記念祭の情報がトップの情報として更新されました。

同様に、遠州在住外国人と花火を見に行ったエントリーが大きく掲載されていますがもうそろそろ次の話題を提供したいところです。

集客できていないイベント情報

シティプロモーションの目的である、関与人口・交流人口の増加のために、『おすすめイベント情報』として、各イベントの概要を紹介する記事を掲載するのは良いことです。

浅羽ヒロミ
浅羽ヒロミ
はまぞうブログの中に情報がないからとも思いますが・・・

はまぞうのブログ記事に限らず、あらゆる媒体から情報を集めているのも正解です。ですが、『袋井 イベント』で検索しますと、ふくろい通信の順位は7位。

静岡新聞が運営する@Sのページが1位で、県内で開催されるイベント情報を網羅的に掲載しています。そもそも『袋井 イベント』自体の検索ボリュームも月間で90程度です。

ふくろい通信として、イベントへの集客を増やそうとするのは諦めたほうが良さそうです。それよりも、地元への愛着を深める事に注力して、『イベントへ行ってきた』系の記事を集めるのが良いと思います。

イベント概要だけでは味気ないです。イベントの賑わいや、参加者自身が楽しんでいる様子を伝えることで価値のあるイベントであると認識され、また、愛着を深める事につながるのだと思います。

アンバサダーの役割りが良くわからない

アンバサダーの方々がどのように選ばれ、どのような認識のもとにふくろい通信で紹介されているのか分かりませんが、ちょっと厳しい言葉を使うとブログがあまり面白くないです。

ごめんなさい。更新のタイミングの問題もあるかもしれません。もちろん面白い記事もありました。が、少数です。いや、この際面白い、面白くないは置いておきます。

アンバサダーとは、情報を発信する人、広める人の象徴の意として使われます。シティプロモーションの目的で言えば、まちの魅力を伝える役割りを期待したいですが、それは荷が重すぎます。

アンバサダーには、継続的に情報発信できる人材育成のための模範となってもらうべきです。まちの魅力を伝えるブログとは何か?ブログ書くのって楽しそう。後進がお手本にしたくなる記事が増えると良いなと思います。

ニャ~ンちゃって日記。。。&W650
小梅ちゃんさんのブログ:ニャ~ンちゃって日記。。。&W650

小梅ちゃんとか、足立さんのブログは素敵です。写真を沢山使って、文字のボリュームも短すぎず読み応えがあります。仕事の事とか、遊びのこととか、袋井での暮らしを楽しんでいる感じが伝わってきます。

はまぞうは以前から、県内の事業者さんが使うブログという印象がありました。アンバサダーの方たちも事業のためのブログが多いです。そのせいか仕事の告知が多かったりするのでもっと個人的な事を書かれると良くなると思います。

魅力的な記事コンテンツが少なすぎる

ユーザー目線で言えば、ふくろい通信には魅力的な記事コンテンツが少なすぎます。市が企画する映画やイベント情報以外はアンバサダーも含め事業者ブログによる告知だらけです。

告知だらけ

はまぞうを使う以上はしょうがないです。コンテンツの充実度で言えば袋井市のWEBサイトや広報ふくろいの方が読み応えがあります。それこそメディアが本業の静岡新聞が運営する@Sだってあるわけです。

あれ?個人のブログで情報発信する必要あるんだっけ?ふくろい通信必要なんだっけ?そんな気持ちになります。いえ。ブログは必要です。役割りの違いを理解しなければいけません。

ブログはニュースサイトになってはいけません。◯◯イベントが◯日に開催です。なんていう情報もいりません。欲しいのはその人がイベントに行って何をして何を思ったかという情報です。狭くて深い情報が求められています。

そんな中でふくろい通信はどうなれば良いのか?

編集部を組織して本気で運営する

編集者

まず、大前提として編集者がガッツリ運営するような体制でなければ成果は得られません。現在も、ファーストビューに収まるコンテンツは月一程度かな?はまぞう側なのか袋井市の職員なのか更新をされているようですが片手間感がにじみ出てます。

はまぞうさんもあまり費用をもらっていないでしょうし、自社サービスを告知できるのであればということで協力されているのだと思われます。袋井市におかれましては、大至急予算の拡充を検討されることをおすすめします。

さて、拡充された編集者によってやっていただくことがいっぱいあります。

ブログを書きたくなる仕組みづくり

まちの魅力を発信することは重要ですが、現状それができる人材が不足しています。そんな中でブログを書きましょうと言われても技術もモチベーションも無いので継続していくことができません。

まずは人材育成

人材育成

ふくろい通信ではまず人材育成に注力します。市民ブロガー育成講座も定期的に行われているようですが、会場に行かなくても良いように、講座の内容をブログにして公開して下さい。

1回30人前後で月一開催では育成のスピードが遅すぎます。ブログ講座の記事をサイトのファーストビューに固定で置いておいて下さい。ノウハウが手に入ったら次はお手本を見ながらの実践です。

アンバサダーや編集者の記事をお手本に

その時に活躍してほしいのがアンバサダーや編集者が執筆するブログ記事です。魅力的なブログとは?読みたくなるブログとは?の答えとなるようなブログを提供します。

先程も書きましたが、ただのイベント告知に価値はありません。どこに行って何をして(見て)、何を感じたか?を実体験から感じたことを書くと魅力的な文章になります。

はまぞう以外からも情報を集める

ブログサービスははまぞう以外にも無数にあります。市内のイベントや、おすすめスポットへ行ってきた人の魅力的な体験記事は、はまぞう以外からも探してきて紹介します。

イベントや、スポットごとのカテゴリを作成して、そこにまとめていくだけでも十分価値のあるコンテンツになるはずです。

承認欲求を満たしてあげる仕組み作り

次に続けるためのモチベーションの提供です。文章を書くというのは苦しい作業です。アメがほしくなります。毎月優秀な記事に対して直接的な金銭やプレゼントを贈るなんてのが理想ですが中々予算も出ないでしょう。

承認欲求を満たしてあげる仕組みを作ります。これは静岡新聞やSBSと提携をして、県内の面白いブログを紹介するコーナーを作ってもらいます。ふくろい通信の編集部は面白い記事を探し出して紹介するのが仕事。

テレビ番組

テレビや新聞で自分のブログが紹介してもらえるとなれば積極的にブログを書くユーザーが増えることが期待できます。また、その中から、地元のちょっとした有名人ブロガーが誕生するとブロガー人口の増加が加速します。

ブログで儲かる仕組みを教える

例えばGoogle AdSenseの貼り方を教えてあげるとか、もしくは地元の名産品のアフィリエイトを提供するとか、ブログを書くことで収益を上げる仕組みを提供します。

はまぞうを利用することのメリットを理解する

はまぞうではどんなブログが人気かを見てみました。すると、人気ブログの上位10に釣具屋さんのブログが4つ。記事ランキングでは上位20を釣りとサーフィンの記事が独占状態でした。

はまぞう人気ブログランキング

はまぞうは釣りやサーフィンをしている人によく読まれていることがわかります。この県内の釣りユーザー達を集めるようなイベントを開催すると、はまぞうブログは集客効果が高いと思われます。

サーフィンの全日本選手権キッズクラスで浅羽南小の森君が準優勝したなんていう素晴らしいニュースもあるわけなので、海がある地域であることを最大限利用すると新しい人を呼ぶことができて、シティプロモーションの目的である、関与人口、交流人口を増やすことにつながるんじゃないでしょうか。

袋井市さん!お仕事お待ちしてますw