カレーというものがある。インド発祥の食べ物で、明治時代にイギリス経由で伝わり独自の進化を遂げた日本のカレーは老若男女を問わず、誰からも愛される国民食と言える。
多種類の香辛料からなる食欲を刺激する香りと辛味が特徴で、材料を選ばない懐の深さが魅力でもある。とにかく何を入れてもカレーになってしまうことにびっくりするし、頼もしいし、ちょっと怖い。
完璧過ぎるのである。完璧過ぎるとモテないってネットの記事が言ってた。このままではいずれカレーは皆に嫌われてしまうのではないだろうか。弱点が欲しい。弱点があることでそれが愛嬌になり、新たな魅力となるに違いない。
カレーに合わない食材や食品が存在するか探ってみた。
合う合わないの定義について
今回判定員を務めさせていただく浅羽ヒロミと申します。私の独断と偏見により判定していくので、公平性を担保するためにルールを整理しておきたいと思う。
カレーライスとの相性を判定する
一口にカレーと言っても麺にもパンにも合ってしまうため、今回はカレーライスとの相性を判定する。つまり、カレーだけでなく、ご飯との相性も重要となってくる。
単体でもふつうに美味しいものであること
今回はカレーとの組み合わせの悪いものを発見することを目的とするので、そもそも不味いものや、いわゆるゲテモノと言われるような苦手とする人が多いものは除外する。
個人的に苦手なものは除外する
私には2つ苦手な食べ物がある。漬物と酢の物だ。福神漬やらっきょう漬けといえばカレーの付け合せとして定番ではあるがどうしても食べられない。一般的に好きな人が多いものでも個人的に苦手な食べ物は除外する。
見た目の先入観に影響されない
見た目というのは味に大きな影響力をもたらす。小学生の頃、祖母が作ってくれるカレーにはいつも『ちくわ』が入っていて、それがすごく嫌で残してしまっていた。
ちくわが食べられないわけではなくて、カレーに入っているちくわが何とも言えないカッコ悪さで、それが嫌だったのだと思う。子供はダサいことに敏感なのである。あくまでも口に入れての味で判定する。
ルーに溶かす調理はしない
調理方法は味に大きく影響する。ルーに溶けるほど煮込んでしまうと恐らくふつうに美味しいカレーになってしまう可能性が高いので、今回は具やトッピングとして食感が残る調理に限定する。
わざと不味くなるような調理はしない
あくまでも美味しくなるように調理をすることを前提とする。素材に対して明らかに向かない調理方法や、適量を守らない分量での調理は禁止とする。
カレーを作る
それではまず、ベースとなるカレーを作っていく。市販のカレールーを使用し、玉ねぎと豚肉を基本の具材とする。スーパーで無料でもらえる牛脂を使うとコクが出ておすすめ。
それでは、カレーに合わなそうな12の食材を紹介していく。
大根
大根は鍋の定番であり、同じく煮込み料理であるカレーにもマッチする可能性が高い。というか前々から大根入りのカレーが好きで私にとっては定番の具材である。以下、ベースの具材になってます。
大根に染み込んだカレーが何ともジューシーでうまい。ジャガイモのようなボソボソ感が苦手な人には特におすすめ。カレーで一番うまいのは玉ねぎだと言う人にはわかってもらえそう。
ちくわ
上でも書いたけどちくわはばあばとの苦い思い出の食材なのである。避けては通れないのである。
うん。ちくわだ。ばあばごめんよ。大人になった僕はカレーを公平に味で判断できるようになったよ。ちくわはカレーに入れてもおいしいよ。
ミント
ミントと言えばデザートにちょこんと添えられているくらいのものであるが、サラダにして食べられることもよくある。サラダとカレーは決して相性は悪くないが果たして……
食べた瞬間の僕の表情がこれだ。
思わず笑ってしまうミントの破壊力!食べた瞬間に歯磨きが終わった後のような爽やかさで口の中がいっぱいになる。あれ?今カレー食べたんだっけと自分の記憶が怪しくなるほどである。
ミントとカレーを一緒に食べるとカレーが消えてしまうことがわかった。何を言っているのか分からないだろうが言っている僕が一番良くわからない。
いくら
いくらと言えばお寿司というイメージが強く、生で食べる事が多いかと思うが、石狩鍋には鮭と共に定番の具材であるためカレーにも合いそうである。今回は煮込まずにトッピングとした。
カレーの中にあってもしっかりと主張する磯の香りと濃厚な味。温かいカレーライスの上に乗ることで生臭さが強調されるかと思ったが嫌な感じは特に無い。食べられないわけじゃないけど調和からは遠い食材かも。
刺し身
刺し身代表として鰹のたたきを用意した。あくまでも刺し身としての相性を見るためにトッピングとした。
悲しいくらい調和していない。トッピングにしちゃったせいもあるけどカレーという料理を食べていると言うよりか、カレーと刺し身を一緒に食べただけという感じである。ネギをどっさり乗せたらもうちょっと違ったかもしれない。
あたりめ&ビーフジャーキー
パッサパサの乾物にカレーが染み込んだらきっとうまいはず。相性が悪い食材を探す目的からは少しずれるが、カレーの新たな魅力が発見できそうでわくわく。
ビーフジャーキーはパサパサしたなんだかよくわからないカレー味の何かになってしまった。ビーフジャーキーの味は全部抜けてしまったんだと思う。
あたりめは大成功。ふっくらしたいかの煮物のような食感とカレーがマッチしていた。写真は撮り忘れてしまった。そしてお腹がいっぱいになってきて集中力が散漫になってきた。
レモン
去年流行ったレモン鍋。基本的に鍋に入る具材ならばカレーにも合うだろうということでエントリー。果たしてそのお味は?個人的には一番やばいのがレモンだと思っている。
一口食べた瞬間に思わず悲鳴をあげてしまった。ルー全体がレモンの酸味と風味に支配されている。ここまでカレーの存在感を消して自己主張できる食材があったのかと驚いた。レモンの量が多すぎた可能性も否めない。
ただし、食べれないほどではないというところにカレーの底力も見ることができた。それから、爽やかな酸味がご飯との相性が非常に悪かった。ラスボス登場である。
リンゴ
リンゴはすりおろしてルーに溶かすことはよくあるが、具材として煮込むことはあまり無い具材である。煮たリンゴは甘みが増すのでケーキに使われることは良くある。見た目も大根に似ているのでなんとかなるんじゃないかと思っている。
フルーツ仲間ということでレモンと一緒に煮込んでしまった影響なのか、煮込み方が足らなかったのか、カレーが染み込んでいる感じがしない。嫌な酸味と甘さだけが強調されている。
わかめ
スープに入ることの多いわかめ。カレーとはマッチしそうだ。
全然カレーに合うんだけれども不思議な違和感に襲われる。自分にとっては予想以上に常識の外側にある食材だったのか素直にカレーに合うことを認めきれないのはなぜだろう。脳が『?』でいっぱいになる。
桜でんぶ
桜でんぶはスケソウ鱈から作られる甘い佃煮である。見た目がピンクでカワイイ。茶色一色のカレーを華やかにしてくれそうだし、インスタでも映えるんじゃないだろうか。
見た目が思いの外カワイイが具材が大根しかなくてこれって本当にカレーなのか疑わしくなってきた。
食べてみるととにかく甘い。思わずこんな声が出る。
「あ……あっ……おお………」
辛いカレーが好きなのだが、辛さをリセットするくらいの破壊力がある。オタサーの姫と呼びたい。
食用菊
そもそもほとんど食べることがない食用菊。刺し身に添えてあっても残してしまうことが多いのではないだろうか。
ほとんど主張しないけれども最後にほのかな苦味と共に香りが鼻に抜け口の中がさっぱりする。嫌いじゃない。
小盛りとは言え、12皿もカレーを食べたせいでお腹いっぱいで苦しい。。。でも、これでカレーは完璧じゃなくて、弱さを併せ持った愛嬌のあるやつだってことがわかっていただけたと思う。次は『ぼくのかんがえたさいきょうのカレー』について追求してみたいと思う。