1年以上前のことです。通販の取引先の担当者が、自分のミスを悪びれないどころか開き直って、逆に別の見当違いな因縁をふっかけてくるという事故に巻き込まれました。
痛感しました。自分の無力さを。こういうモンスターに対して、私にマスタークラスの魔物使いのスキルがあれば仲間にし直すこともできたかもしれませんが、今回は戦士としてバッサリと斬り捨てることにしました。
・・・と、1年前でしたらこんな書き出しから以降、相手がいかに理不尽だったか → 自分の正当性 → トラブルの解決方法 みたいな内容の記事を上っ面で書いていたと思います。
が、冷静になった今。あのときにやれることなんて何もなかったなってことに改めて気づきまして、未来の為に今回の失敗について記録することにします。
事の発端
通販の取引先のあるベンダーさんは出荷完了の連絡をよく忘れてしまいます。このベンダーさんには商品の直送をお願いしているため、伝票の出荷番号をもらうい、弊社からお客様へ出荷完了の連絡をするのが通常の流れです。
先方の言い分はいつも「忙しくてつい・・・」というもの。私はミスを責めることはしません。人間なのでミスするのは当たり前だし、改善して次につなげたいスタンスです。
毎回改善点を洗い出し、お互いに同意した上で運用を進めるのですが、その後も一定の割合でミスは発生します。ある日、なかなか出荷連絡が来ないのでこちらからメールで状況確認をするとびっくりする内容が返ってきます。
※メールの内容は特定ができない程度に改変してありますが、話の流れは忠実に再現してあります。
先方からのメール
お荷物はすでにお送りしています。毎日忙しいので注文番号を毎度報告するのは、忘れてしまったり、時間がなかったりでできません。
他の取引先ではこのような運用をしていないのでもう出荷連絡をしたくないです。また、なぜウチと競合の商品をいっしょに取り扱うのか。あきれています。
↑ここまで
突っ込みどころ満載ですが、とりあえず、順番に問題を切り分けて冷静に反論してみました。いや。冷静ではなかったかもしれない。(あきれているのはこっちの方だバカ野郎。)
私からの返信メール
商品の出荷完了後に出荷番号の連絡をすることはお互いに同意をした上で決められた運用ルールです。負担に感じていてルールを変更したいのであれば、無断でルールを破るのではなく、事前に相談することが筋ではないでしょうか。
競合の商品を取り扱っていることについて、弊社のネットショップの運営方針を決めるのは弊社であり、ポリシーがあって店舗運営をしております。
ご意見をいただけることは嬉しいですし、内容によっては受け入れる心構えはございます。が、正しいお願いの仕方はあるような気がします。
もし、前任のバイヤーとの間で、このカテゴリーの商品は御社のものしか扱わない約束があったのであれば、こちらに落ち度がありますが、そんなお約束はありません。
御社の商品はファンも多いですし、弊社としては、今後も良好な関係でお付き合いを続けていきたいと考えております。もし、お互いに誤解があるようでしたらそれを解きたいのが今回のメールの意図でございます。
◯◯さんの心境を教えていただけないでしょうか。
↑ここまで
という我ながら大人なメールを送ったのですが・・・
結局、取引をやめることに
この後のメールは競合商品を扱っていることへの恨み節と、私を人格否定する内容が届き、それに対して私が反論するやり取りが2往復くらい続きます。
そして、先方の方から取引をやめてもいいですよ。というような言葉が出たのでそれを了承し、取引を終了しました。
このベンダーさんと弊社の関係性を少し説明しておくと、こちらの商品は一部のファンはついてはいるものの、めちゃくちゃ売れている商品ではありませんでした。
先方にとってはもっと売れよと思ってたでしょうし、ウチにとってはこの程度の売上ならお客様との信用に傷がつくリスクを抱えるより、取引を終了してもいいかと思える商品です。
先方は取引を辞めたくて戦略的に攻撃的な態度をとったのであれば先方の思い通りになったわけで、良かったのかなとも思えるのですが、おそらくそれはノーです。
最後くらい電話で挨拶をしようと思い、「今までありがとうございました。現在注文が入っている分だけよろしくお願いします。」と、伝えたところ、
相変わらず私の人格否定をする暴言が飛び出し、それに反論しようとするとそれを遮る奇声を発するしまつ。
あんたに取引を終了する権限があるのかと聞いてきたので、あるんだよ。と言うと、ぐぬぬっ・・・みたいな声を出してました。(あっさり取引終了になったことを怒ってたのかよ。何なんだその迷惑な自尊心は。)
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unknownあんたに取引を終了する権限があるのか?
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浅羽ヒロミあるんだよ
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unknownぐぬぬっ・・・
私の受話器から漏れる奇声が聞こえたのか、隣の席のアシスタントの子は苦笑いしていました。ミスの理由をいそがしいからと答えてしまう時点でお察しですが、要するに依存的で感情的なだけの人だったわけです。
ビジネスの上での良好な関係とは
きっと、この取引先さんと日頃からもっと良好な関係を築いていればこんな悲しい事にはならなかったんだと思うんです。ビジネスなので、本当の意味での良好な関係とは沢山取引をすることだったんでしょうけど。
その意味では我々の力不足は否めません。でも、これもまたビジネスなので、沢山ある商品をまんべんなく沢山売ることが不可能なことも事実であり、ある程度はしょうがないです。
ましてやこのようなレアな人のケースでは出来ることはほとんどありません。最初のメールを送った段階で取引終了の選択肢は浮かんでいました。
今思えば、無視してフェードアウトするのが一番良い方法でした。嫌な思いをせずに、時間をかけずに取引を終了するにはこれ以上の方法はありません。
礼節を持って主張する
最近、こんな言葉に出会いました。中国の有名な思想家の孔子が書いたとされる、繋辞伝(けいじでん)の下伝に、書かれている言葉です。
上交(じょうこう)して諂(へつら)わず、
下交(かこう)して涜(けが)れず、それ幾(き)を知れるか。
いつでも、どこでも、誰とでも、相手の気持を考えないドライな見方と付き合い方が出来れば判断を間違えにくくなる。しかし、所詮、相手も人間。他人の気持の斟酌(しんしゃく)が求められる。しかし、情に流されると判断を間違う。
正しい判断をするためには、相手の気持を十分斟酌して相手の本音をつかみやすい環境を作らねばならない。下の者は、あなたの権威に気を使う。だから、尊重する気持を持ち、対等の立場で丁寧に接し続けない限り本音はでない。
上の者に、ドライにぶつかるだけでは、上の人の自尊心が傷つき、良い関係は作れない。しかし、自尊心に訴えることばかり考えると、結局媚びへつらうだけで対等の付き合いができないもの。礼儀を十分尽くし、直球をぶつけるべし。
目下には、尊重の態度で、上司には、礼儀を尽くす。しかし、上にも下にも結局は自分の信じるところを曲げずにぶつける。人間関係のバリアに配慮し、かつ、飲み込まれないスタンスの両立で、始めて真実が見つかるもの。
真面目に目下の者を尊重し対等に付き合い、目上とも礼儀を失すること無く、しかし、平目にならず自分の信じるところを主張する。そして始めて世の中の真実がつかめるように成る。
出典:山本維真塾
意思疎通できないことを話が通じないと表現することがありますが、共通言語を持っていないと理解し合うのに時間がかかります。共通言語というのは上記の様な考えでも、ビジネス書でもなんでもいいです。
行動や考え方の指標が同じであれば意思決定が非常に早くなりますよ。私は同じチームの人間には最初に7つの習慣を勧めるのですが本を読めない奴が結構いるんですね。
本ぐらい読もうよ。ねぇ。