無名の女子大生が初出版で5万部

無名の女子大生が初出版で5万部 出版社は持ち込みを待っている

浅羽ヒロミ
浅羽ヒロミ

石渡氏:今、業界の規模は縮小しつつも、違った視点での書き手を恒常的に求めているので、兼業で、今ある仕事をやりつつ、時々記事を発表するというスタイルが私はだんだん主流になっていくんじゃないかと考えています。

で、そおいうライターをリードしていくのが編集者ということに変わっていくんじゃないですかね。で、これ2008年くらいからずっと言われていることがありまして。ネタさえあれば、知名度が低くても書籍って簡単に出せます

私の「就活のバカヤロー」と同時期に出た本に、「中学受験の失敗学」という本があったんです。この方出版初めての方で、当時確か大学院生の女性の方でした。

この方は何が良かったかというと、大学生の時から、中学受験の家庭教師のアルバイトをずっと続けられていたんですよ。

で、中学受験でこおやれば受かりますよっていう本は昔から何冊もあったんですが、この方は、親が空回りして、失敗するというところを観察されて、かなり書きためていたんです。

で、それを光文社編集部に送ったところ、面白いということで、「中学受験の失敗学」というタイトルで出したんです。

で、おそらくこのタイトルだけだと、ネガティブすぎて売れなかったんだと思うんですけどサブタイトルが凄い良かったんですよ。

「中学受験の失敗学~志望校全滅には理由がある~」って言われたらですよ、成功させたいって思っている親からすると、ひょっとして、私のやり方間違っていないかな?って凄い不安になるじゃないですか。

ということで、大学院生で初の出版であったにもかかわらず凄い売れました。確か5万部です。

中学受験が盛んじゃない地域では全く売れなかったんですが、二子玉川とか、中央林間とか、関西で言うと西宮とか、中学受験が凄い盛んで、塾が集まっているようなターミナル駅では飛ぶように売れました。

800円の5万部。で、この人お一人で書かれたので印税率10%のままですから、ざっと400万円。お手元に入ったと。

みなさんが、ご自身の業界で、これは当たり前でしょと言わずに、違う業界の人から見たらひょっとしたら面白いんじゃないかなと、いろいろ考えていくと、本になる可能性があるんじゃないかなと思います。

ので、是非、ライターを少しでもお考えであれば、書籍の出版というのもどこかでお考えいただければなと思います。

なお、当たり前ですが、商業出版ですから、お金はかかりません。あくまでも印税を出版社が支払うという形になります。

無名時代に持ち込みで初出版

浅羽ヒロミ
浅羽ヒロミ
最初の書籍出版は特にライターとしてのつてなど無い中から出版されたと思うのですが、どのようにして出されたんですか?

石渡氏:私はひたすら持ち込みですね。で、「中学受験の失敗学」の瀬川さんも多分、光文社新書編集部に電話をかけられて、こおいうのですけどどうでしょうという流れだったと思います。

で、今年、別の出版社で進んでいた企画が潰れて、当時何もお付き合いのなかった、今もお付き合いがないんですが、新潮社の新潮新書編集部に電話をかけたんですね。

最初受付の女性が出られて、新書の企画の持ち込みなんですと伝えたところ、じゃあ編集長に代わりますねって、すぐに編集長にかわっていただきました。

一応、編集長は私の名前は知っていてくれてたんですが、仮に無名の方であっても、話を聞いてくれる体制はあったと思います。

なので是非どんどん電話をかけていただいたほうがいいんじゃないですかね。

浅羽ヒロミ
浅羽ヒロミ
最近読んだ本で面白かった本を教えて下さい。

石渡氏:面白いかどうかは分からないですけどタイトルはイイですね。「電子書籍で1000万円儲かる方法」。

鈴木みそっていう方と、うめっていう漫画家ユニットの原作を担当されている小沢高広さんという方の対談集です。これは。

で、実際にうめのお二人は、電子書籍で1000万円以上儲かった方です。いわゆるポルノ漫画ではなく、きっちりとしたストーリー漫画で達成しています。

なので、電子書籍で何かイベントが有るとすれば、必ずこのお二人のどちらか、もしくは両方が呼ばれているというのが現状です。

ただ、これ今の出版業界を非常に象徴しているんですが、「電子書籍で1000万円儲かる方法」という本が全く売れていません。

電子書籍版はちょこちょこ売れたそうなんですが。これ、ちょっと漫画家の話として、専門的すぎるんです。

漫画家さんが読めば面白いんでしょうけど一般の方が読んでも面白く無いという、私は出版業界の人間ですので興味を持ちましたけどね。

で、皆さんにはこの本よりか、鈴木みそという漫画家が「電子書籍で1000万円儲かる」というのを漫画にした、「ナナのリテラシー」という漫画があります。

こっちは断然おもしろいです。出版業界がぼろぼろ、で、さらに中堅の漫画家が全然売れないという状況、まぁ、鈴木みそ著者ご自身のことなんですが、それがどうやって、電子書籍で復活していったか。1000万円儲かったかという話を書いたのが第1巻です。

出版業界でいうと、「重版出来!」という漫画もおもしろいです。これもオススメです。漫画編集部の女性編集者が主人公の漫画なんですが、これも今の出版業界をよく表しています。

そして、本が売れないという状況の中で、じゃあ編集者ができることって一体なんだろうということを前向きに描いていて、出版業界の方にはかなり評価の高い漫画です。

10年前には働きマンという漫画がありましたが、あれの後継作といってもいいのかなという作品です。

では、以上となります。話が右に左に飛びましたが是非皆さんが養成講座の受講をお考え頂いて、出版業界で働かれることを祈っております。