通販サイト運営歴6年のアサバです。静岡県には沢山の素晴らしい特産品がありますが、農家さんや、自治体の皆さまにおかれましては、さらなる消費拡大を狙ってネット通販へ希望を見出そうとする動きは少なくありません。
1997年に設立した楽天市場によって、国内のインターネットによる通信販売の市場は大きく拡大していきました。楽天開始直後に出店した事業社さんの中には、ばく大な収益を上げてレジェンドとなった事例も沢山生まれています。
そんなネット通販市場は、10年後の2007年に成熟を迎え、2015年の今、様々なサービスが乱立し、誰もが気軽に物を売れる世の中になり、競合は爆発的に増えました。
日本全国で数十万ショップくらいあるんじゃないでしょうか。ネット上に商品はあふれ、ネット通販で簡単に儲かる時代は終わったとえいます。
個性のない商品は誰からも見向きもされないのが現状です。厳しい状況ではありますが要は頑張り次第というところもあるので、最大限頑張った結果、静岡の特産品がいくら売れるのか見積もってみました。
シュミレーションする特産品(キーワード)はとりあえずこの5つ
うなぎ
メロン
お茶
みかん
わさび
条件はこんな感じです。
カートASPでの出店
楽天やAmazonのようなモールではなく、カラーミーやMAKESHOPなどのカートASPでの出店。サービス利用料や手数料を抑えます。
集客はSEOのみ
1位表示になったという体で見積もります。リスティング広告やメルマガ、SNSによる集客は考えません。
商品は1種類とする
ネット通販では商品点数と売上は比例すると言われていますので、専門店といえど、様々な系統の商品を揃えるのですが、特産品という性質上それは難しそうなので、お茶ならお茶しか扱っていないものとして考えます。
◯◯茶、××茶と、お茶のカテゴリーの中にいくつ商品があっても1種類とカウントします。お茶とみかんをやってますとなったら2種類です。
計算式
月間平均検索ボリューム×1位表示クリック率(20%)×転換率(1%)×単価
検索ボリュームとは、そのキーワードでの検索回数です。Google AdWordsのキーワードプランナーというツールを使って見積もります。
ただし、これはグーグル検索での検索ボリュームのみの数字です。ヤフー検索を考慮してキーワードプランナーで出た数字に2をかけます。
また、複雑になるので複合キーワード(例:お茶 通販)を考慮しようかしまいか迷ったのですが、実際の店舗運営では複合キーワードの方が重要だったりしますのでこれを考慮してさらに1.5倍ぐらいにしておきます。
検索結果1位表示におけるクリック率ですが、SEOの第一人者Kenichi Suzuki氏のブログで、英NetBoosterの調査結果のデータが紹介されていました。今回はそれを参考にして20%としました。
転換率とはWEBサイトに訪れた人の内、実際に商品を購入した人の割合のことをいいます。ここはやりようによってはいくらでも変化する数字ではありますが一般的には1%程度と言われていますのでそうしました。
単価は楽天でざっと調べてみて上位表示されている商品の金額から雰囲気でつけてみることにします。
年間売上を計算してみた
うなぎ:27,161,400円
メロン: 7,965,000円
お茶: 1,426,200円
みかん: 7,848,000円
わさび: 2,298,000円
内訳はこんな感じです。
個人商店としてはそこそこの売上かもしれませんが、業界の底上げとして期待すると絶望するかもしれません。ここからは個人商店の方向けに書いていきます。
今回はSEOで1位表示された場合のシュミレーションをしてみました。さらっと1位表示と書いていますが、並大抵の努力では1位にはなれませんのでご注意下さい。
雑誌一冊できるくらいの、商品についての専門性のある良質な記事を大量(100P以上)に作成するか、10ページくらいのサテライトサイトを10サイトほど作成して、本サイトにリンクをするとかですね。
覚悟がないととてもできない作業量です。そこまでしなきゃいけないのにあれくらいの売上しか無いのかと思ってしまった方はネット通販はやめておいた方がいいと思います。
通販を本気でやってる事業社さんたちは自社サイトをSEOで集客しつつ、楽天や、Amazonへも出店します。それぞれを商圏と言い換えると分かりやすいかもしれません。
東京だけでやるよりも大阪でもやったほうが良いっていう考え方ですね。ネットの中においても、東京、大阪、福岡というほどの商圏の分断が起きているのです。
また、商圏が違えば集まる人も違いますのでその商圏毎の戦略が求められることになります。ネット通販の世界は今、こんな事になってしまっているのです。
ネット通販で成功するには
上で紹介した計算式の各数字を上げていくしかありません。検索ボリュームは複数カテゴリの商材と商品点数を揃えることで自社サイトへの接点を増やします。
そして転換率。ここが一番重要です。これを上げるためには多岐にわたるアプローチの方法がありますので順番にご紹介していきます。
限定感
まずは小手先レベルのテクニックですが、限定感を演出することは効果的です。数量限定、期間限定、初回限定など、今買わなければいけない理由を用意してあげる事が重要です。
広報や広告宣伝
テレビやネットで話題の商品であればとりあえず買ってみたいと思うのが人の性です。
需要のある商品を開発するか需要を開発する
これは転換率というか商品開発の肝とも言えることですが、そこにマーケットはあるか?ということを意識せずに商品を作ることはできません。
例えば、日本食ブームの海外へ日本茶を売ろうというのは前者の取り組み。嗜好品としてのお茶に脂肪燃焼効果のあるトクホ茶としてダイエット目的を与えたのが後者の戦略です。
顧客をファンにする
例えば、女優の◯◯さんが食べてたから食べてみたいとか、大学教授の◯◯さんが健康に良いって言ってたから試してみようかと、思ったこと皆さんあるんじゃないでしょうか。
これと同じような信頼関係を店長と顧客との間に構築することが出来ると店長が美味しいよって言ってるから買ってみようかなということがおきます。店舗運営にとって究極の形がこれではないでしょうか。
以上。これらの取り組みが商品の、店舗の個性となり他社との差別化につながっていくのです。では、業界としてはどうやって戦っていくべきか?それは海外への輸出しか無いのかなぁと思っています。
この戦略についてはまた次の機会に書きたいと思います。