僕はWEBの人間なので印刷畑の人のことを隣で見ていて大変そうだなと常々思っておりました。解像度の問題、色の問題、リリースしてしまったものを気軽に直せない問題。
WEBだととりあえずアップしちゃって間違いや変更があればその都度直そうというスタンスなので間違えられないというプレッシャーは、デザイナー、オペレーターとしては大きな足枷となります。
そんな中、知り合いの印刷屋さんに工場の見学をさせていただく機会がありまして、色々とお話を聞いてきまして、やっぱり印刷屋さんて大変だよねという思いを強くしてまいりましたので、ここに印刷屋さんの作業工程についてまとめたいと思います。
印刷の工程
大雑把な印刷屋さんのお仕事の流れがこんな感じです。それぞれの項目について解説していきます。
企画
顧客からの問合せ、もしくは営業が獲得してきた企画(お仕事)について、その目的と方法についてディスカッションをします。営業としては顧客の目的を引き出すためのトークスキルと、それを実現するための効果的な方法を適切に提案する能力が必要です。
レイアウトデザイン
企画に基づいて、目的のを達成するためのデザインを行う。様々な要素を適切に配置するバランス感覚が要求される。文言ひとつとってもコピーライティングや、フォントの選択など、作業は多岐にわたる。イラストや写真の大きさ、色もセンスが求められる。
版下データ入稿
印刷するためのデジタルデータを作成します。版下作成(文字打ち)とフィルム集版(色分け)をパソコン上で同時に行いフィルム出力を行います。DTP(Desktop publishing)編集とも言います。
製版
デジタルデータはイメージセッターに転送され、印刷用の4色分版フィルムとして出力されます。最終チェックの後、刷版焼付けの工程へと移されます。
CMYKの4色を重ね合せて様々な色を表現すします。フィルムには「ネガ(印刷部分が透明)」と「ポジ(印刷部分が黒)」の2種類があり、それぞれゴミが目立ちづらい、構成しやすいというメリットがあります。
刷版
校了になったフィルムに露光(約1~2分)し、それぞれの印刷方式の版材に焼き付けます。最近では、パソコンで制作したデジタルデータを、直接版材に焼き付ける方法が主流。CTP(Computer To Plate)という。
面付を考慮して並べる
例えば、A4・16ページの冊子を作る場合、A4用紙8枚分の大きさのA1サイズという大きな用紙に一度に印刷した上で、その用紙を8つ折りにすることで表裏合わせて16ページとします。
面付けとは、各ページがページ順になるように、製本仕様に基づいて配列する作業です。天地を合わせたり、折った時に順番が合うように並べます。
印刷
サイズ、部数、紙の種類ごとに適切な印刷機械を選択し、指定された用紙に、指定されたインキで印刷をします。季節、気温、湿度、用紙などにより、印刷の仕上がりが異なるため、微妙な調整が行われます。
製品のクオリティーを確保するため、一定の枚数ごとにサンプルを抜き取り、汚れ、ずれ、色むら、裏写りなどが発生していないかの点検を行います。週刊マンガ誌や新聞紙の紙は質が悪いため、瞬間的に乾かすと紙が伸びてしまいます。
印刷方法一覧
シルク印刷:シルク(絹)やアクリル網目(スクリーン)を使い、インキを通さない部分の目をつぶしてインキの透過を加減して印刷する方式です。
オフセット印刷(平版):製版で作成されたフィルムをPS版(感光版)と呼ばれる版に焼き付け、インキが油性であることを利用して印刷する方法です。
オンデマンド印刷(CTP):現在の主流の印刷方法です。DTPシステムと高解像度プリンタによって、必要なときに必要なだけ印刷する方法です。版が要らない分、費用を抑えられます。
活版:活字を組んで印刷する活字組版印刷
輪転印刷:用紙がロール状になっており、高速両面印刷が可能
枚葉印刷:一定のサイズに切り揃えられた枚葉紙のための印刷
加工
刷り終わった印刷用紙を、指定された寸法に断裁します。また、折り加工や綴じ(とじ)加工などを行い立体的な製品を完成させる。断裁する際にはハリにインクでマークをし、ずれていないことを確認して行います。
大量の用紙を揃えるにはエアーで振動させた台を傾けながら揃えます。綴じ方には「中綴じ」と「無線綴じ」があり、「中綴じ」は主にパンフレットに用いられ、左右表裏が繋がっているため必ず4の倍数のページ数になるという特徴がある。
「無線綴じ」は折丁の背の部分に接着剤を塗って綴じる方法です。週刊マンガ誌や、ノートなどに用いられます。
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浅羽ヒロミやっぱり印刷は奥が深いです。大変だ。