インフルエンザとノロウイルスの予防

インフルエンザとノロウイルスの予防と対処法をお医者さんが解説

浅羽ヒロミ
浅羽ヒロミ
こんにちは。浅羽ヒロミです。

最近、職場でインフルエンザが流行ってしまいまして、手洗いうがいに、マスク着用で、加湿器もフル回転にして予防に努めている次第であります。

そんな中、産業医の先生がインフルエンザとノロウイルスの予防と対処法について話をしてくれたのでポイントをまとめてみました。

冬場の生牡蠣にはノロウイルスがいっぱい

今回、ノロとインフルエンザが社内で流行っているということで、予防と対処方法について話させていただきます。よろしくお願いします。

ノロっていうのは食中毒の要素と、感染性腸炎の要素と2つあります。どういうことかというと、食べ物によって感染するのが食中毒です。

で、ノロに伴う食中毒になる可能性が高い食品があるのですが、それは冬場の生牡蠣です。夏場の生牡蠣は大丈夫なんですけども、冬場の生牡蠣にはノロウイルスがすごくたくさん存在すると言われています。気をつけてください。

それとですね、感染力が非常に強いです。ノロ感染を起こした人の吐物から浮遊するウイルスを吸い込んだだけで感染するくらい強いんです。吐物に触らなければ大丈夫と思うかもしれませんが間違いです。

トイレで誰かが吐いてしまったと。家の中でも会社でもそのままにしておくと空気中にウイルスが浮遊して、もしくはどこかに付着してですね、ウイルスってだいたい6時間ぐらい生きているんですね。

ノロウイルスの消毒には次亜塩素酸

それを触ったり、吸い込んだりするだけでも感染してしまうと。で、通常アルコール消毒で、手洗いとかやっていることが多いかと思いますが、ノロの場合アルコール消毒ではダメです。

いわゆる次亜塩素酸という塩素系の消毒液を使わないと、予防できないと言われています。ですから、ご自宅とか会社のトイレで誰かが吐いたりした場合には、

その処置は、マスクとか手袋とかしっかりした上で、次亜塩素酸という塩素系の消毒液を使って、消毒をしていただく必要があります。会社のフロアーにも一個くらい次亜塩素酸の処置用の何かを置いて下さい。

ノロは基本的には胃腸炎ですので、高い熱と吐き気、食欲不振になったりというの症状が出ます。ノロの感染力の強さを考えると、こういう疑いがある人はできるだけ自宅待機していただいて、症状が良くなるまでは会社に出勤しない方がいいです。

ノロについてのポイント

冬場の生牡蠣を食べない
吐物に対して素手やマスク無しで近寄らない
消毒は次亜塩素酸を使う

インフルエンザは解熱しても2日間は自宅待機

それから、インフルエンザ。これもノロと共に冬場に感染力が非常に強いということでみなさんもご存知の通り有名ですけども、学校の場合ですと、学校保健安全法施行規則によって、インフルエンザに感染した場合の出席停止期間が明確に決められています。

2日間です。インフルエンザにかかった子は、熱が下がってから2日間は待機してそれから学校来てくださいっていう規定があるんですね。

大人も同じで、当然解熱したからと言って、すぐに会社に来ていいわけではなくて、2日間くらいは自宅療養していただいた方がよろしいかと思います。

それでも完全にウイルスが排除できているわけではないので、マスクとか手洗いうがいとかしっかりしていただくというのもお忘れなく。

毎年変わるインフルエンザ

インフルエンザの菌にはものすごく沢山の種類があります。ちょっと細かい話になりますが、インフルエンザの表面にはHとNの2つの抗原があって、組み合わせによって大体A型インフルエンザだけでも144種類あると言われています。

それだけ沢山の種類がある中で、毎年毎年、マイナーチェンジします。ちょっとずつ変わっていってるということです。だから、去年A型にかかったから今年は大丈夫と思っても、ちょっと変わってるからまた新たな感染を起こすわけです。

で、10年に1回フルモデルチェンジをします。新型インフルエンザと言われるような、いわゆる今ある薬が効くのか効かないのかというような話になってしまうやつですね。

いずれは人間は感染症で絶滅するんじゃないかと言われているくらい、ウイルスとか細菌は非常に頭がイイのでどんどん変わっていくわけです。人間が新しい薬を作るとそれに対して抵抗力を持ったウイルスがどんどん出来てしまう。

国も予防接種とか、新薬とかで対策をしているわけですが。それだけ、一度掛かったから大丈夫だという安易な気持ちは持たないで欲しいということですね。

ワクチンは免疫がつくまで2週間

予防をしっかりやっていく上で何が大事かというと、一番はインフルエンザのワクチンを打っていただくことです。ワクチンは、免疫がつくまでにだいたい打ってから2週間位かかります。

インフルエンザは12月に入った辺りからちょっとずつ出てきますから。11月中旬位にはワクチンを打っていただいたほうがいいです。

今までインフルエンザのワクチンはA二種類にB一種類の計三種類だったんですけど、2015年から4種類のインフルエンザに対しての効果がある新たなワクチンができました。

ワクチンの目的は重症化を避けること

厚労省の方では必ず、その年の流行を考えてワクチンが作られていますから、ぜひ打っていただきたいです。で、ちょっと勘違いされては困るのが、先日こんな話を街なかで耳にしまして、

unknown
Aさん
インフルエンザのワクチン打った?
unknown
Bさん
いや、打ったけどうちのばあちゃんインフルエンザにかかっちゃったから意味無いのかね?

これはちょっと間違いで、インフルエンザ打ったから絶対にかからないんじゃなくて、インフルエンザを打つことによって免疫ができていますので、もしかかっても重症化しないんですね。

例えばインフルエンザにかかったらヘタしたら脳炎になったり肺炎になったりけっこう大変なことになったりするんですけど、そういう重症化を防げるということと、本来であれば1週間かかるところが2~3日で治るとか、そういうところです。

だから、必ずかからないんじゃなくて、感染が弱くなるということで考えていただきたい。だから絶対打ったほうがいいと思います。

感染しないための対策

かからないための予防っていうのは当然、手洗いうがいマスクです。これは、どういったところから感染するかを考えていただきたいんですね。

みなさんが、会社につくまでの間に、まぁ、東京ですから、いろんな交通機関を使って来られるかと思うんですけど、例えば電車のつり革を触ってきたと。

そのまま会社の中に入るときに手洗いも何もしないで入ってきましたと、それでパソコンなり電話なり色々なものを触れば、その電車の中にいたウイルスが付着します。

ウイルスは6~8時間くらい生きていますから、それをそのまま会社の中に持ち込んでくることになるんですね。そうしたら知らないうちに疲れて免疫力が下がった人が感染して、そこからどんどん広がっていってという可能性もあるわけです。

だから、手洗いをなぜしなくちゃいけないかと言うと、自分のためじゃなくて、人に広めないようにやってると思ってください。家に帰った時と、会社に入ってくるときは手洗いをしっかりやっていただきたいです。

あと、自分を守るためにうがいもしっかりやっていただくと。そういったことをベースに、ワクチンを打っていただくと。

インフルエンザの症状

インフルエンザの症状というのは、私の診療所に患者さんが来たときに今日どうされましたって聞くと、普通の風邪の場合はのどが痛いとか鼻水が出るとか、局所の症状を言われます。

ところが、インフルエンザの場合は、関節の節々が痛いとか体がすごくだるいとか凄い高い熱が出るとか全身の症状を言われることが多いです。

もし社内にそういう人が出た場合、これは感染源ですから即刻帰っていただくと。そうしないとどんどん広がってしまう可能性がありますので。

インフルエンザのチェックは発熱から12時間後

で、インフルエンザかどうかを病院に行ってチェックしていただくかと思いますが、インフルエンザのチェックは熱が出てから最低12時間は経たないと意味が無いんです。

だから今日の朝熱が出ましたと、病院に行って調べましたと。そこで陰性だから大丈夫だ。ということにはならないので、やはり12時間以上、出来れば1日くらい経ってからチェックをしないとですね本当の評価ができないんですね。

それを踏まえた上で、ちゃんと陰性だと確認した上で会社に来て下さい。熱が高い人は要注意です。

インフルエンザの治療薬

もしかかってしまっても、今はインフルエンザの薬がたくさんあります。皆さんが知ってらっしゃるタミフルっていうのは朝と夕方1錠ずつ5日間飲むとかだったんですけど、

今はすごくいい薬ができてですね、1日一回だけ吸入していただければそれで終わりみたいなのもあります。イナビルといいます。

それと合わせて、解熱剤とかもろもろ飲むわけですけど、こういった非常に優れた薬も出ています。ですから、疑いがあれば、ちゃんと検査をして、インフルエンザであれば治療を受けていただきたいと思います。

以上。とにかくノロとインフルエンザに関してはとにかく感染力が強いですからすぐに人から人へ伝染ってしまいますからその蔓延を防ぐということを心がけていただければと思います。